生活空間には目に見えないほど小さな菌が生息しています。これら菌が好む絶好な環境が整った時に、菌が大増殖!品質劣化の原因となります。
空気中には1m3中に10~1000個*1の菌がいると言われています。開栓したら、これら菌が空気とともにペットボトルの中に入ってしまう可能性があります。
人の口の中には100種類以上の菌がすんでおり、その数は唾液1mlあたり1~10億個*2。
容器に直接、口をつけて飲む場合、これら菌が清涼飲料水の中に入ってしまいます。
菌といってもカビ・酵母などの真菌や細菌など、実にさまざまな種類があります。
ヨーグルトや味噌など発酵食品に活用される有用なものと、品質を劣化させる有害なものがありますが、地球上での誕生の歴史は、人間より菌が先です。菌の生息圏に人間が住みついたようなものであり、私たちは菌がいない生活はできないのです。
*1:神奈川県衛生研究所 調査研究(Mycopathologia 139:23-33,1997)
*2:日本防菌防黴学会【編】「菌・カビを知る・防ぐ60の知恵」
清涼飲料水は開栓すると、空気中の酸素により酸化し、また混入した菌によって「劣化」が始まります。その劣化は清涼飲料水の種類、飲み方、混入する菌の種類、保管温度など様々な要因に左右され、スピードも異なります。
16種類のペットボトル入り清涼飲料水320本を、室外、ダイニングやオフィスなどで開栓し、中身半分をコップに移し、残りはキャップを閉め、25℃で14日間保管して菌が発生するか調査。その結果、2割で菌が発生しました。
口飲み試験では、352本を半分になるまで園児から高齢者の男女が口をつけて飲み、同様に保管。その結果、5割で菌が発生しています。
口飲みによる菌数の推移を調べた結果、茶系飲料、ミルク入り飲料、ミネラルウォーターで菌の発生率が高く、増殖も盛んでした。菌は、目安として1mlあたり100万個を超えると腐敗している状態だと言われていますが、速いものでは翌日に1mlあたり1億個まで増殖するものもありました。
出典:2008~2010年度 厚生労働科学研究 食品の安全・安心確保推進研究事業「清涼飲料水の汚染原因物質の関する研究」成果報告
*108は1億個、106は100万個、104は1万個、102は100個です。
菌が清涼飲料水に含まれる糖などの栄養分を食べ、酸などを排出するために、酸っぱい味やにおいがすることがあります。
菌の中でもカビの場合は、目に見えないほど小さな胞子から菌糸を伸ばし、少しずつ成長して、かたまり状になることがあります。色や形状など、カビの種類により異なります。
菌の増殖で濁ったり、成分が分離することがあります。
菌が清涼飲料水に含まれる糖などの栄養分を食べ、酸に加えてガスを発生させることがあります。このガスの発生が続くと容器がパンパンに膨らんでしまいます。
口飲みしたコーヒー飲料の菌の増殖を24時間、調べました。その結果、24時間後にはシャーレの全面に広がり、食中毒の危険性が高まりつつあります。
・口飲みした場合は早めに飲みきってください。
・コップに移して飲んだ場合でも、残りは冷蔵庫で保管し早めにお飲みください。
・冷蔵庫に入れた場合でも早めにお飲みください。
清涼飲料水の開栓後の取扱いについてまとめた啓発動画「むびしばい」を作成しました。
開栓後の品質劣化の理由や注意する飲み方、保存方法などについてわかりやすく解説しています。
<目次>