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<新旧会長対談>業界が一体となり、清涼飲料業界の持続的成長を目指す

22代会長/大塚製薬株式会社 代表取締役副社長

松尾 嘉朗

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23代会長/株式会社伊藤園 代表取締役社長

本庄 大介

新旧会長対談

業界が一体となり、清涼飲料業界の持続的成長を目指す

清涼飲料水の生産量は昨年、過去最高数量を記録しました。
清涼飲料市場は加工食品業界で最大規模のマーケットであり、ステークホルダーも多く、生活に欠かせない存在であるとともに、社会的な使命も大きく期待される産業です。
一方で、昨年の記録的な猛暑など気候変動の影響や社会情勢の変化、また本年1月の能登半島地震など自然災害への対応などの課題も浮かび上がっています。
そのような中、清涼飲料水の価値や取り組むべき課題、業界として生活者・社会へ貢献するために何が必要か、松尾前会長と本庄新会長に語っていただきました。

※全清飲調べ

健康をサポートする清涼飲料水、ライフラインとしての水を届ける

松尾:清涼飲料水の1人あたりの消費量は継続的に伸びています。ファンダメンタルズが良くなってきたことに加え、それぞれの清涼飲料水メーカーが個性豊かな商品を積極的に開発しています。清涼飲料水はミネラルウォーターや無糖茶飲料、コーヒー飲料に加え、日本伝統のラムネなど選択肢が広く、消費者のニーズを先取りし、応える製品ラインアップを揃えていることが、消費を促進しているのではないでしょうか。
 清涼飲料水の健康価値というのは、水分補給そのものです。昨年は非常に厳しい猛暑であり、熱中症対策も含めて水分補給の重要性が注目されています。

本庄:清涼飲料水は様々な原料を使用して作られており、原料においては細心の注意を払う必要があります。安心安全、品質の良い商品をお届けするということが業界全体に求められています。
 清涼飲料業界は、健康をサポートする清涼飲料水を皆さまのところに確実にお届けすることが使命です。災害時などにライフラインとしての水を皆さまにお届けすることも業界の重要な役割のひとつです。

持続的な成長に向けて必要なこと

松尾:持続的な成長に向けてのポイントは、まずは個性・特長ある価値の高い商品を展開すること、そして環境負荷を低減する取り組みを確実に実行することです。これらを継続的に展開していくことが大切です。
 環境負荷を低減する取り組みとして象徴的なものはペットボトルです。軽量で持ち運びしやすく素晴らしい容器で、日本は世界に比べても高いリサイクル率を維持しています。全清飲として、現在自治体と協働して様々な活動を行っています。清涼飲料業界はペットボトルを地上資源と捉えており、この有効活用といった視点やさらなる技術革新などで業界に求められていることを高いレベルに引き上げていく必要があります。

資源循環に向けた活動は、さらに高い次元を目指した取り組みに期待

本庄:業界として健全な競争を行っていくこと、さらにその上で協力できることをともに行うことも必要です。特に、物流面ではトラックドライバーの時間外労働に対する上限規制、いわゆる「2024年問題」が現実のものとなり、人手不足、輸送能力の低下のリスクにさらされています。

松尾:清涼飲料業界では、皆さまの生活に必要不可欠な清涼飲料水を今後も安定的にお届けするため、トラックドライバーの長時間待機の削減や付帯作業の改善に向け、昨年度、業界として自主行動計画を策定し、発信いたしました。

資源循環の取り組みを、さらに高い次元へ

松尾:先ほどお話しした持続的成長のためのポイントのうち、業界として今、積極的に取り組んでいるのが、環境負荷低減に対する資源循環の取り組みです。
 日本はペットボトルのリサイクルにおいて回収率94.4%、リサイクル率86.9%、ボトルtoボトル比率は29.0%と世界の中でも最高水準を維持しています。ペットボトルはごみではなく地上の資源であり、今まで以上に会員企業、行政、自治体、全清飲が一体となって取り組み、消費者とともに進める必要があります。
 清涼飲料業界は、2030年までにボトルtoボトル比率を50%に引き上げる目標を掲げて様々な活動を行っていますが、全清飲がファシリテートし、さらに推進していっていただきたいと思います。

本庄:日本政府は「成長志向型の資源自立経済戦略」を掲げ、その中でもペットボトルはフロントランナーであることが示されています。清涼飲料業界では、個社それぞれの取り組みに加えて、2030年ボトルtoボトル比率50%と将来目標を明確にしております。グローバル化においても先進的な日本の清涼飲料業界の取り組みを発信することで世界をリードしていきたいですね。

清涼飲料業界の未来のために、社会課題の解決を目指す

松尾:全清飲が掲げている活動理念は社会の「公益」と業界の「共益」です。個社がそれぞれの特長を生かして商品展開や事業活動を行いながら、業界としての課題解決をともに進めていくことで、業界はさらなる発展を目指していくことができます。

本庄:松尾会長がリードし、進められたペットボトルtoボトルの推進や物流課題への取り組みなど、業界の課題をともに解決していこうという取り組みは、社会課題の解決にも繋がります。
 また、大きな社会課題の解決に向けては、業界全体の取り組みに加えて、行政や自治体とのセッションが非常に大切です。
 全清飲を通じて、会員企業をはじめとした業界内や関係団体、関係する企業の皆さまと公益、共益に関する課題解決と業界の持続的な成長に取り組んでまいります。

業界課題は社会の課題。ステークホルダーとの連携が欠かせません

松尾 嘉朗(まつお・よしろう)

1985年大塚製薬入社。執行役員総務部長、大塚ホールディングス常務取締役、同専務取締役を歴任。2017年大塚メディカルデバイス取締役(現任)、2022年大塚ホールディングス取締役副社長、2022年大塚製薬代表取締役副社長、2023年大塚食品取締役(現任)に就任し、現在に至る。

本庄 大介(ほんじょう・だいすけ)

1987年伊藤園入社。1990年取締役、1997年常務取締役、2000年専務取締役、2002年代表取締役副社長を経て、2009年代表取締役社長就任。2015年Distant Lands Trading Co.Chairman of the Board就任(現任)、2019年代表取締役社長 執行役員に就任し、現在に至る。