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知る・学ぶ


知る・学ぶ組合会員探訪 > #04・#05 東京都清涼飲料協同組合

個々の社が独自ブランドを保持
オリジナリティーある
事業展開で活路を開く

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安髙俊彦(やすたか・としひこ)/東京都清涼飲料協同組合理事長。株式会社サニーフーヅ代表取締役。

設立から108年。全国の組合をけん引しながら、清涼飲料業界の発展に貢献してきた「東京都清涼飲料協同組合」。設立からの長い歴史や組合員同士の関係性、東京ならではの独自性、さらに中小の視点からの業界展望を、冬号と春号にわたってご紹介します。今号では東京の組合の特長、長い歴史の中で培った信頼関係、そしてこの組合があったからこそ成し得たことについてうかがいました。

――まずは東京の組合さんの特長、強みを教えてください。

安髙「組合員は現在30社です。業務用シロップ(※1)や焼酎割りなどのサワー・ミキサー飲料(※2)、ラムネやサイダーなど、さまざまな清涼飲料水を生産・販売している中小企業が会員です」

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阿部豊(あべ・ゆたか)/同副理事長。スミダ飲料株式会社代表取締役。

阿部(貴)「全国各地の中小企業はさまざまな勝ち残り策を工夫してきましたが、東京は独自ブランドを育成し事業を継続してきた社が多いのが特長。自らの強みを保持している会社ががんばり、活路を開いています」
阿部(豊)「中小企業のメイン事業となっているシャンメリーなどは東京が発祥の地です。ニーズを先取りして開発し、市場を創出。その商品を全国の仲間に広めてきたとも聞いています」

森田「東京の会員社は特に、焼酎割り用などシロップが強い。もともと、焼酎を清涼飲料水で割る飲み方が東京で定着し、居酒屋チェーンの全国化などで広まった経緯があり、全国のマーケットのかなりの割合が東京の会員社の商品のようです」

※1 かき氷シロップやカクテルベースなど。最近ではサワーなど焼酎割り用のシロップとしても活用されています
※2 焼酎割り用の各種フレーバーの炭酸飲料

――みなさんのお付き合いも長いのですか?

安髙「会社でいうと3代目、4代目なので、先代、先々代から付き合ってきたわけです」

阿部(豊)「私たちの若いときは青年会(のちに成年会)という若手の会があり、それが登竜門でした」

森田「情報交換会や旅行など交流を深めてきました」

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森田晃生(もりた・あきお)/同副理事長。スター食品工業株式会社代表取締役社長。

安髙「私の父が1950年に初代会長となり作ったのが始まりで、私も30代の頃に会長を務めましたが、当時で20数名はいたと思います」
阿部(貴)「成年会で築いた信頼関係が今も本会を支えていると言っていい。ずいぶん密な関係を築いてきたんじゃないでしょうか。昔は、地元でリターナブルびんのラムネやサイダーをやっていた会社が多かったので根本的に販売エリアがかぶらなかったですし、互いに設備を融通し合ったり、新商品開発のときなどは、いい原料や添加物はないかと知恵を出し合ってきました」

森田「丁々発止で値段競争するとかはなく、いいものを作ろうと切磋琢磨し続けたわけです」

――強い信頼関係ですね。

安髙「108年の歴史があり、設立から今日までには、戦争もありましたし、消費者の嗜好も大きく変わりました。時代が変化するなかで、個社では難しい情報収集や交渉事を引き受けてきました。39年に物品税が課せられたときは、組合を通して政府に業界の意見を届けることができたと聞いています」

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阿部貴明(あべ・たかあき)/同副理事長。丸源飲料工業株式会社代表取締役社長。

阿部(豊)「われわれが知っているところだと77年の中小企業分野製品の宣言ですね。これは組合がまとまっていたからこそ実現できたと思います。当時、中小と大手が住み分けをしてともに成長していく道を提案することは組合なしではできなかったでしょうね」
阿部(貴)「これまで培ってきた組合の力は、今後も業界全体の発展のために役立つと思います」

森田「確かに。時代に合わせて組合が果たすべき役割を見極め、業界を盛り上げていきたいですね」

東京都清涼飲料協同組合の足あと
  • 1910年

    「東京清涼飲料水同業組合」設立

    東部ラムネ製造組合、西部ラムネ製造組合、果実蜜組合などの任意団体をまとめ発足。第1期組長に、発起人の一人である松村祥一郎氏が就任。

  • 1934年

    「第1回全国清涼飲料品評会」開催

    東京・三越本店にて開催。全国から132点が出品され、東京主要製造家の特別商品も9品出品された。

  • 1936年

    「第1回伊勢神宮参り」

    100名を超す組合員が参加、組合員同士の交流や活動が活発になる。

  • 1939年

    戦時立法として物品税公布

    当初売上の1割程度だった税率が、48年には5割まで引き上げられ、東京の組合員が反発。全国的な反対活動へと波及し、大蔵省へ陳情活動などを行う。

  • 1940年

    「関東清涼飲料工業組合」設立

  • 1944年

    「関東清涼飲料工業統制組合」に組織変更

    統制組合法に基づいて戦時下の統制経済により、企業整備が実施され、中小清涼飲料業者は10数社に整理統合される。

  • 1947年

    「東京都清涼飲料工業協同組合」に名称変更

    統制組合法が廃止。組合員58社によって再出発し、49年には225社に。

  • 1949年

    「関東清涼飲料協同組合」に組織変更

    中小企業等協同組合法に基づいて、「関東清涼飲料工業協同組合」から組織変更。同年、「シロップ部会」が発足。

  • 1950年

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    写真は第2回清涼飲料大会の様子

    「第1回清涼飲料大会」を開催

    消費者へ清涼飲料水を広めるために東京・三越本店にて開催。また、若手が親睦を深める目的で「青年会」が結成される。

  • 1961年

    「東京都清涼飲料協同組合」に名称変更

  • 1971年

    炭酸飲料に使用するガスの協同購入を開始。72年より共同購入事業がさらに拡大。

  • 1977年

    「中小企業分野宣言」が実施される

    組合員が団結して交渉し、「ラムネ」「シャンパン風密栓炭酸飲料(シャンメリー)」「びん詰めコーヒー飲料」「びん詰めクリームソーダ」「ポリエチレン詰清涼飲料」の5品目で大手企業の自粛要請。82年に「焼酎割り用飲料」も追加。

  • 1982年

    「ミキサー部会」が発足

  • 1992年

    オレンジ果汁の輸入完全自由化

  • 1995年

    現「東京清飲会館」が完成

  • 2010年

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    組合設立から100周年を迎える

    記念式典・祝賀会を開催し、記念誌を発行。

未来を見据え、組合ならではの力で
業界発展に貢献していく

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組合と業界の一層の発展を願い行われた賀詞交歓会にて、年頭の挨拶に立つ安髙俊彦理事長。

東京都清涼飲料協同組合・後編をご紹介します。今年の賀詞交歓会において、現組合員同士のつながりと共に、先代とのつながりも大切にすることで、組合としての組織力を一層強めていきたいと語った安髙理事長。4月には先輩経営者との交流会も企画しているといいます。そこで、今回はこの交流会開催の目的、中小ならではの力と課題、そして今後、組合がどのような存在を目指していくのか、安髙理事長を始め、阿部(貴)、阿部(豊)、森田副理事長にうかがいました。

――交流会開催の目的について教えてください。

安髙「時代によって目標や課題は変わっていきますが、それに対し組合としていかに取り組んでいくか。この先迷ったときのヒントは、これまで業界を見てきた方々の言葉に見出せるのではないかと思い、交流会を企画しました。戦中戦後の激動の時代から右肩上がりに成長していく時代を見てきた方々を中心に、なかには戦前をご存知の方にもお話をうかがいます」
森田「こうした交流会を持てるのも、歴史ある当組合だからこそ。時代を切り拓いてきた先人たちの言葉を、次世代に伝えるのも組合の重要な使命だと思います」

阿部(貴)「中小が結束しなければならない場面は昔に比べて少なくなっていますし、それぞれ価値観も変わってきています。しかし、組合ができることはまだまだあるはずです。組合員の力を伸ばし、共通に取り組むべき課題や目的を掘り起こしていくことも、われわれの役目だと思っています」

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1月19日ロイヤルパークホテルにて行われた賀詞交歓会には、約40社の関係各社が参加。全清飲の小郷会長も挨拶に立ち、これからの課題と展望を共有し合いました。

――中小企業ならではの力と課題とはどんなことでしょうか。

安髙「われわれが生産している商品は、多品種少量生産というカテゴリー。大手企業では対応しにくい分野を得意としています」

阿部(貴)「東京は業務用製品を作っている組合員が多いですが、チェーン店でも店舗で差別化していこうとしている傾向があります。そのなかで、どれだけそのお店が求めるものを開発し提供できるかが、中小企業ならではの腕の見せ所です」

森田「それから、アイディアをすぐ形にできるのも強みといえると思います。中小のアイディアでヒットしたサワーは約30年前にブームになりました。それからしばらく横ばいでしたが、最近また居酒屋で飲まれるようになってきました。その理由は、大手企業が缶酎ハイの販売・宣伝をするようになり、若い世代が酎ハイのおいしさを知る機会が増えて、お店でも飲むようになったからだと考えています」

阿部(豊)「大手企業が缶酎ハイを発売するようになった当時は脅威でしたが、今はいい循環を生んでくれています」

阿部(貴)「これからは中小と大手がともにスパイラルアップしていかないといけない。77年の中小企業の分野製品の宣言も未来永劫ではないでしょう。長く続けていることは消費者のメリットにもなりませんし、消費者から興味を持ってもらえなくなれば、自分たちの首を絞めることにもなりかねません」

安髙「消費者のニーズが変わっていくなかで、われわれも対応力をつけていく必要があります。これまで同様、中小の持つ機動力や発想力を活かしつつ、販売力や宣伝力のある大手とともに、成長を目指していかなければなりません」

――中小と大手のパイプ役としての組合の役割も大きくなりそうですね。

阿部(貴)「これまで大手と中小の課題は別のものという感じがありました。しかし今後は、一緒に取り組んでいくべき課題も出てくるのではないかと考えています」

阿部(豊)「例えば、深刻な人手不足に対して外国人研究生などを受け入れることは、個社では交渉できません。清涼飲料水を海外へ輸出するなら、関税の問題もあります。国際競争力を高めていくには、組合が中小企業の意見をまとめ、大手と共に交渉していくべきだと思います。そういったなかで、例えば酒造業界や缶詰業界、物流業界など、他業界の方々との連携も大事だと考えます」

安髙「今後の業界発展には、引き続き中小企業の結束は重要だと考えます。これまで築いてきた組合のヨコのつながりと世代を超えたタテのつながりはもちろん、大手、他業種とのつながりも深め、業界全体の成長に貢献していきたいと思います」

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これからも組合を通して業界を盛り上げていきたいと語る理事会のみなさん。右から阿部貴明副理事長、安髙俊彦理事長、森田晃生副理事長、阿部豊副理事長。
東京都清涼飲料協同組合会員社一覧
大越飲料商会 葛飾区柴又5-30-22
(株)長田商店 台東区根岸5-15-12
(株)果香 大田区山王2-5-10 大森野村證券ビル5階
風見飲料商会 目黒区目黒本町3-19-7
(株)神田食品研究所 新宿区下宮比町2-20
(株)興水舎 墨田区吾妻橋1-16-3
河野飲料商会 江戸川区西一之江3-27-7
(株)コダマ飲料 大田区大森南5-3-21
(株)サニーフーヅ 目黒区中央町2-25-5 1階
サンクラウン果精(株) 江東区古石場2-11-3
三友飲料(株) 東大和市立野3-580-1
(株)新宿高野 新宿区新宿3-26-11
スター食品工業(株) 千代田区一ツ橋2-5-3
スミダ飲料(株) 墨田区東駒形4-16-17
(株)静水社 横浜市都筑区川向町1361-1
(支社)大田区大森西2-33-1
(有)太洋 古河市原町198-5(東京営業所)足立区在家3-3-12
(株)武田薬化学研究所 品川区大井7-23-3
天羽飲料製造(有) 台東区竜泉3-37-11
東京飲料(株) 中野区新井4-8-7
(有)戸田乳業 秩父郡小鹿野町小鹿野1046-1
(支社)新宿区高田馬場1-5-21
野中食品工業(有) 葛飾区西新小岩3-45-8
(株)博水社 目黒区目黒本町6-2-2
富士ミネラルウォーター(株) 渋谷区初台1-55-7 富士急内
フロリダスモーニング(株) 渋谷区渋谷3-10-15
紅矢食品工業(株) 豊島区池袋3-60-4
ホッピービバレッジ(株) 港区赤坂2-15-12
丸源飲料工業(株) 墨田区立花4-7-8
水元飲料商会 葛飾区水元1-14-2
三田飲料(株) 渋谷区渋谷2-12-6
メトロ(株) 武蔵野市中町1-6-5 YNビルみたか3階
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